はたらく、つくる、うまれる音
「CRAFT SOUNDSCAPES」は、ものづくりの際に生じる音や、古くから伝わる作業唄を掘り起こし、音楽家やアーティスト達の手で、CRAFTを別の視点から共鳴させることを目的としています。ものづくりの現場で録音した音を用いて、ミュージシャンが楽曲を生み出し、現場で撮影した映像と組み合わせて作品を生み出します。
はたらく、つくる、うまれる音
CRAFT SOUNDSCAPES ものづくりには、必ず「音」が生まれる。
良い「音」が鳴っているとき、そしてその音が良いグルーブを生んでいるとき、生まれてくるそのものは出来がいい。師匠が弟子にその技術を伝えるとき、音を聞けという。
酒造りのようにクルーの息を合わせるとき、音に耳を傾ける。ものづくりの現場でうまれる音を録音し、その音をミュージシャンと映像作家の手で紡いで、作品を生み出していく。音からうまれるバイブレーションで、CRAFTを共鳴させたい。
越前市の工藝「越前箪笥」。昔から花嫁行列で披露されてきた、長持唄を木彫刻師 鈴木白峰が唄い、DJ PPTVが創る音と融合して表現。そこに、佐々木桐たんすの製作工程を追い続けた映像作家 木村悟之の映像が融合。文化継承の新しい表現を是非。
越前箪笥は、奈良・白鳳時代から伝わる越前指物の技術によって作られた箪笥。ケヤキや桐 等の木材を独自の釘を使わないほぞ組み技術(指物技術)で作られている。豊かな装飾の飾り金具や漆塗りをした重厚なつくりが特徴であり、他の伝統的工芸品と深い結びつきがる。
表面は木目が透けて見えるほど磨き上げられた漆塗りであり、これは越前漆器に通じる。金具は分厚く、越前打刃物の技術が使われている。堅牢な作りは三百年持つと言われている。
単に衣類をしまうものではなく、商家の証文や大福帳をしまう金庫として使われたため、鍵がかかり、頑丈で火事の時に運び出すために車輪がついた車箪笥が多く作られた。
2013年には経済産業大臣により数少ない民芸箪笥として伝統工芸品の指定を受ける。美術工芸品としても高く評価されている。
越前市のタンス町通りには今も多くの箪笥職人が集まっている。
撮影協力
長持唄
鈴木 白峰 [鈴木彫刻所 木彫刻師/民謡講師]
鈴木彫刻所初代 仏師 技術と個性を発揮し、神社仏閣などの建築装飾を製作している。 また、民謡の唄い手として、民謡教室も通して地域に残る民謡を未来に繋いでいる。2020年の千年未来工藝祭では、CRAFT SOUNDSCAPESのLIVEにて越前箪笥 長持唄を披露。
佐々木桐たんす
住所 : 福井県越前市宮谷町49-27
昭和53年に創業。兄弟2人で数多くの桐たんすの製造を手掛けてきた。在庫を持たない完全受注生産で、主に県内外から注文を受け、職人が1点1点製作している。そのため、デザイン・大きさ・装飾・使う用途に合わせた作りなど、細かい要望まで応えることが出来る。木材の乾燥も自社で行っている。
アーティスト/映像制作
木村 悟之 Noriyuki Kimura / Eizo Workshop
情報科学芸術大学院大学(IAMAS)修了。主な展覧会・発表に、2019年「21st DOMANI・明日展」(国立新美術館)、2015年、第18回文化庁メディア芸術祭受賞作品展(国立新美術館、審査員推薦作品)、2014年、第60回オーバーハウゼン国際短編映画祭(Second Prize, MuVi Award, ドイツ)、2013年、Film by Music(山口情報芸術センター、YCAM)。2006年、DVD『軌跡映画 1』をSOL CHORDより出版。2016-2017年、文化庁新進芸術家海外研修員、ドイツ(ケルンメディア大学(KHM)およびデュッセルドルフ)滞在。現在、石川県を拠点に活動。金沢美術工芸大学非常勤講師。
アーティスト/音楽制作
PPTV
1988年石川県白山市生まれ。DJ。老舗和菓子屋で修行した経歴から地球上の音楽を独自の観点で昇華・融合しアウトプットしている。作品 Equus Saeta、ホロホロブシ、fierce as folk、see a far。
Producer
内木 洋一 Yoichi Naiki / Botanically
様々な経歴から自身の活動をコンテクストデザインに置くことに。TAKIGAHARA FARMの立ち上げと共に鎌倉から移住し、地域おこし協力隊として活動を終えた現在は、カメラマン、企画、薬草家として複数の生業を持ちながら、Craft Soundscapesの活動を行っている。人や薬草、あらゆるものを混ぜることが好きです。
堀木 俊 Shun Horiki / 建築家 隈研吾建築都市設計事務所
スイス連邦工科大学ローザンヌ校に留学。2013年より隈研吾事務所勤務。プロダクトデザインから都市計画まで大小様々なデザイン・設計に従事する。 東京から富山に活動拠点を移し、DJ、奏者の息遣いから無機質な機械音、 様々な音の大陸を波動に乗ってクロスオーバーし、渡航感と多幸感が入り混じった空間を創る。
Senior producer
内田 裕規 Hiroki Uchida / 千年未来工藝祭プロデューサー 株式會社ヒュージ
デザインやブランディング、地域リノベーションを手がける。文化創造拠点「FLAT project」や、作り手を繋ぐ場「CRAFT BRIDGE」創設。一般社団法人「北陸古民家再生機構」理事も務め、カテゴリーにとらわれない働き方と、自由な視点で様々なクリエイティブ表現を実験的に行なっている。